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教育革命

エチオピアのほとんどの学校の壁には、絵が描かれている。そのほとんどが教育的なものである。心臓の絵、人体の絵、英語のアルファベット、その学校によって描かれているものは様々である。たまに格言的なことも書かれている場合がある。
ある日、私が訪れた小学校の壁で見つけた言葉。

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“Be first! Don’t be second. Second is last so work to be first.”(一番になれ!2番は最下位と同じ。だから一番になれるように努力しろ。)
少し意訳したが、おそらく言いたいことはこのようなことだろう。エチオピアの教育全てとは言わないが、多くはこの言葉のように、結果が全てで、過程を考慮しない傾向がある気がする。


 私はエチオピアで体育隊員として活動している。一人任地で言語もろくに話せず、右も左もわからないまま、あっという間に時が過ぎていった。グレード9と10(日本の中学3年生と高校1年生)が通う新しい学校には、現地の体育教師はいない。相談をする相手も近くにいなく、マンパワーとしての活動に疑問を感じていた。
そんなボランティアに対する生徒からの容赦ない文句、態度。何度も途中で授業を切り上げ、生徒が謝りに来るのをじっと職員室で待った。誰も謝りに来ない。なぜボランティアが授業を放棄したのかわかっていない。結局、1年目は彼らに何も教えることができなかったと反省した。

そして、2年目が始まった。配属先はボランティアにエチオピア人体育教員の同僚をつけることを約束してくれたが、見つけることができず、また一人で全学年・クラスを受け持つことになった。私の活動はマンパワーではあるが、少なくとも配属先の生徒たちに私が伝えたいことは伝える努力をしようと決めた。

今回は前年度の反省を踏まえ、体育を通して、生徒たちに社会性を伝えることを目標に授業を組み立てた。理論の授業では、グループで話し合わせ、エイズ患者に対する差別・偏見についてのロール・プレイングを取り入れ、生徒に考える機会を与えた。実技の授業では、毎回必ずグループワークを取り入れ、生徒の協調性を刺激するよう努めた。

しかし、出欠を採る際に、ズルをしたり、ボランティアの話を聞かなかったり、教室の中ではおとなしい生徒だが、外に出ると収集がつかなくなる。1年目は、ボランティアの言うことを聞かなかったり、ズルをした生徒は容赦なく減点していた。減点された生徒は、素直に言うことを聞くようになった。しかし、この方法だと、生徒自身は何も変わらず、ボランティアの目を盗んで再びズルをし、それを繰り返すだけだと悟った。

そこで、毎回の授業で導入とまとめの部分で社会性・モラルについて説くようにしてみた。ボランティアが重要だと思ったことは“思いやり”である。クラスメイトを思いやれば、協調性が養われ、教員(ボランティア)を思いやれば、話を聞くようになるだろう。毎回の授業で、必ず最低一人は思いやりのない行動をとる。その時に授業を止め、その生徒のとった行動が正しかったかどうかを全員に確認する。もちろんほぼ全員が間違いだと指摘する。そうするとその生徒は恥じることを避け、同じ過ちは繰り返さなくなる。

初めはこの“思いやり”Think for others!「他者を思いやれ!」とだけ、実技でボランティアが使っているホワイトボードの裏に貼り、繰り返し、毎時間確認していくと、生徒も「Think for others」とお互いを指摘し合うようになっていった。

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そこで他の社会性も学ばせようと思い。ボランティアが伝えたかったことや社会性のキーワードを追加するようにした。多くの生徒がズルをしたり、テスト中もカンニングをし、平気でうそをつくから、“正直者になれ!”Be honest!、暑い日差しの中、運動することを嫌い、文句を言う生徒たちに、我慢することも重要だと伝えたかったから、“忍耐強く!”Be patient!、これも思いやりに含まれると思うが、自分ができたら終わりではなく、できない生徒に指摘をしてあげてほしかったから、“教えあえ!”Teach each other!、できないことがあるとすぐ諦めてしまうから、“努力しろ”Make an effort!、Don’t give up!と、授業毎に一つずつ追加していった。

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これだけを伝えるためだったら、道徳の授業をすればいいのだが、体育の授業を通して、実際の活動の中でこれを体験するのが大切だと思う。頭がいい悪いではなく、運動神経がいい悪いでなく、常に他者のことを思いやる優しい青年であってほしい。私の授業からいくつ生徒が学んでくれたかはわからないが、一つでも多くの社会性を身に着け、立派な大人になってほしいと願うばかりである。

“You don’t have to be first, but always think for others.”
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by jocvethiopia | 2012-05-29 17:36 | 活動

今日は

エチオピア暦

2004年5月1日です。


5月のことをアムハラ語(エチオピアの公用語)で「グンボット」といいます。
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by jocvethiopia | 2012-05-10 01:35 | 時候の挨拶


エチオピアに展開する青年海外協力隊(JOCV)・シニア海外ボランティア(SV)のページです。活動の様子や,生活・文化の紹介などの記事を掲載しています。


by jocvethiopia

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